はじめに
オリンピックで、選手が手首に「紐」を巻いているのに気付きました。 ネットで調べると、それは「ミサンガ」と呼ばれ、願い事が叶うように紐を編んで、その紐を手首や足首などに巻き付けて、紐が自然に切れたら願い事がかなうと信じられているそうです。
万葉集に詠まれている「紐」には、「ミサンガ」と同じように、願い事がかなうようにと、手首や足首に巻く「紐」があることに気付きました。 その「紐」が解けると、「願い事」が叶うと信じられていたことも歌に詠まれています。
1)「紐」が解けるのは恋人に逢える前兆
眉がかゆくなる、くしゃみがでる、紐が解ける、この三つのことは恋しい人に逢える前兆と考えられていました。 眉を掻き、くしゃみし(鼻ひる)、紐が解けたので、恋人が来る前触れと考えた歌があります。
巻十一2408番 眉根削 鼻鳴紐解 待哉 何時見 念吾
眉根掻き 鼻ひ紐解け 待つらむか いつかも見むと 思へるわれを
巻十一2808番 眉根掻 鼻火紐解 待八方 何時毛将見跡 恋来吾乎
眉根掻き 鼻ひ紐解け 待てりやも いつかも見むと 恋ひ来しわれを
(眉を掻き、くしゃみをし、紐も解けて、待っていることだろう ~ )